講演会@TamaZoo


まえがき

この文章は IQ1の2まいめっ の4日目の記事ですが、 必ずしもAdCのために書いたわけではありません...枠が空いていたので埋めさせてもらいました。

◇講演会@多摩動物公園

12/08(土曜)に、多摩動物公園で講演会が ありました。 テーマは「寒さを生き抜く工夫」で、講演者は遠藤秀紀教授 (東京大学総合研究博物館)。 講演に申し込むと、オマケで入園料が無料になります。先着順で締め切り当日に申し込んだので参加できないのではないかと思っていたのですが、当選しました。ラッキー。

◇講演の概要っぽい

東大教授の先生。話の腰が低く、わかりやすかったです。テーマは「寒さを生き抜く工夫」ですが、動物が寒さを生き抜く戦略には大まかに5つがあり、

のうち一つ以上を採用している、という話。以下は各論。

毛皮

ラクダは砂漠の動物だが、寒冷地にも適応でき、冬毛は長い。 ジャコウウシも毛が長い。(50~60cmほど)科博に標本がある。 ではなぜ長い毛を持てるのか?それは伸びる速度の他に「抜けなくなる」ことの効果が大きい。 また、長さだけではなく、性能も重要で、ミンクやフェレットは良い毛皮を持っている。(故に皮革産業に用いられている)

ところで、人間の生み出した毛皮こと「綿」は意外と単位厚さあたりの保温性能が良い。 綿に勝る保温性能を持つ毛皮は、ホッキョクギツネやトナカイなど、限られている。(対象的にホッキョクグマは比較的単位厚さあたりの保温性能の悪い毛皮を持つ。)

大きい身体

大きい身体を持つと、単位体積あたりの表面積が小さくなるため、相対的に熱が逃げにくい。 そのため、寒冷地の動物は大きな体を持っている。(ベルクマンの法則) 日本ではシカが有名だが、イノシシでの例もある。(この先生も論文をだしているそうだ) トラも、スマトラトラはやや小型。 例外もあり、あまりに栄養状態の悪い 場所 では、成長期に餌が十分得られないことなどが原因で、小型である。

東京の動物園のスマトラトラは、本来よりも大きい気がするとのこと。(理由失念。成長段階で栄養状態が良いからだったかな?) あと、変温動物のは虫類も恐竜サイズまでいくと昼間十分に暖まれば、夜間の体温の下降は現生のものよりゆるやかだったはず。 現生のものは昼間は日陰と日なたを行ったり来たりするほど、体温調節がシビア。

皮下脂肪

メモが欠落しているので記憶のみで書く。(IQ1)
ラッコのCTスキャンと、切断断面を見ると、皮下脂肪が非常に大きいことに気づく。(あと、目が大きい) 寒い海に適応するのと、寒冷地に適応するのは実は似ている。人間を真冬の海に放り込むと、二分ほどで低体温症で死ぬ。凍るほど冷やさなくても「凍死」してしまうのだ。

発熱

熱交換/発熱によって、適温でない温度であっても、エネルギーを余計に消費するが生き延びることができる。 ただし、厳しい状況では全身を温めようという戦略は消耗が大きすぎるため、体幹をメインに保護する戦略をとる。 また、向流で効率よく熱交換を行うなどの工夫も。寒い空気がすぐに肺に入らないよう鼻腔が大きいサイガなど。

最近のアツいトピックとして、ナマケモノは体温調節の手をゆるめることで、環境に対して自分の体温も上下させてしまうが消費されるエネルギーを小さくしていることが発見された。 遠藤先生曰く、餌が大量に手に入る環境だからこそできる適応とのこと(記憶がやや曖昧)

冬眠

寒くなる --> 体温下げて眠る が冬眠 ではない。 ある周期を持って自発的に代謝を変化させ、なんらかの物質(冬眠に入るシグナル的なものか?)を血中に放出する動物が、冬眠する動物の正しい定義。 この定義では、ホッキョクグマは冬眠する動物となる。

ホッキョクグマは進化史上最近になって出現した動物らしい。ヒグマと分子系統樹がわかれないこともあるらしい。

トリビア

モウコノウマは馬の野生原種だと考えられてきたが、違うことが最近わかった。家畜馬が再野生化したもの。 多摩での解説にも「モウコノウマは馬の野生原種〜」と書いてあったので、驚きがある。

◇感想

動物、見てるだけでも良いのですが、プロからお話を聞くと「お〜っ!!」となり、楽しいです。やっぱり教授はすごい(IQ1感想。) 質問タイムで「今日は明らかにセミプロがいるので…」的なことがちらっと出ていて、実際質問レベルが高い!他人の質問と先生の受け答え聞くと非常に興味ある。 良い質問するのもスキルと知識が要る。

動物園は講演会などの行われる機会が多くなったと感じる。あるいは講演会自体は増えていないが私が身近に感じるようになったか。 動物はまだまだ不思議というかフロンティアだと思う。モウコノウマのように、信じられていたことでも間違いだとわかったりするし、現生の動物を取り巻く状況も変化する。 このような分野をキャッチアップし、楽しむには結局専門家の話を聞くのが一番なのかなと思うので、こういう機会はもっと増えていってほしい。

今度は博物館で展示がある。来年3/2~6/30。行こうかな。

◇おまけ

寒い場所に住む推したちのほんの一部です。夏に行った時よりみんな生き生きしてた気がする。今年はほんとに暑かった。

タイリクオオカミ

冬の朝は遠吠えが聞ける可能性が上がる…と公式twitterにあったような気がした(見つからない。) 朝一番で見ると、確かに遠吠えしていた。哀愁ただよう声で群れで鳴くので、なんとも言えない気分になる。高まりとも落ち着きともいえるような。周りに人がいないときに聞くとなおさら。耳が後ろを向くの、なんででしょうね。

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心揺さぶられる声、ロトさん?

トラ

室内展示場見せてくれるのは多摩くらいな気がする。 肉を舐めていた。舌がざらざらしている。かわいい(IQ1並感)

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ペロペロ

ユキヒョウ

最近特に人気で、バズーカ(カメラ)を持った人が多い。私は写真は 検索クエリ で我慢。双眼鏡を使うとよいと井の頭自然文化園でアドバイスをもらったので双眼鏡を使い、心のシャッターを切っている。双眼鏡の機動力は確かに高く、空堀のある動物を見るときにも強い。ユキヒョウは近いけど。 あと、大きなカメラ若干の威圧感ないですかね、わからないけど。

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コボ君…

最後に

ちゃっくさん、今年もありがとうございます。あと書き手の方も毎日楽しく読ませてもらってます。 もう一つ枠を取ってしまっていますが、ネタは実はまだ考えてないので、がんばります(IQ1)

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