バックミラー


◇新年度のまえに

春ですね。 気分・体調とも管理が難しいので一年で最も好きでない季節です。

年度末なので今年度の振り返りを少し。 月ごとに書こうと思ったけれど、インシデントごと書いたほうがまとまりがでそうなのでそれで。 と思ったけれど、去年一番大きなインシデントといったら試験でもポスターデータ喪失や発表でもなく、入院だと思う。

◇入院

もうじき一年か。人生で自慢できるポイントである「大病したことがない」を失った。初日/二日目は立っているのがやっとだった。 その後二週間飲食ができなかったのはつらかった。点滴が気になって夜眠れないのも(点滴が少なくなると血液が逆流してくるので自分で三方コックを閉めていた)。 退院後も腕に針が刺さっていて寝返りが打てない悪夢に度々うなされた。

ありがたかったもの。

本当は、もっとたくさんあります。

医師もそうだとはおもうけれども、毎日接するのは看護師の方々。 正直なところ、私の入院なぞよりも夜勤のほうがよほど辛いのではないだろうか。それでも、夜、見回りや器具の交換なども気づかないほどで、 気配りがすごかった。

注射がとてもうまい看護師の方が数名。点滴の針の交換はかなり憂鬱だったが、痛みがないを通りすぎてもはや自分の体の一部のよう。 器用とかそういう次元ではない。

些細なことでもほめてくれる方がやはり数名。教科書や論文を読んでいるだけで真面目だとほめてくれるばかりか、 早く元気になりたいというだけでほめてくれる。心身が弱っている時、心に響くものがあった。 本当に救われた。

遠い中面会に来てくれてありがとう。心強かった。退院時も重いものは持てない程弱だったので大変ありがたかった。 あともちろん金銭面もでしょうね…とにかくありがたい。

"普通に" 復帰できた。二週間強いなかったけれど、何事もなかったかのようだった、ような気がする。(遠い記憶)

初めての経験

内視鏡前にミダゾラムを使用した。正直使う意味あったのか…?と思わないこともない。 (事実、再検査の際には「使わないでほしい」と言ったところ、普通に使わなくても検査支障はなかった。) 午前に使用し検査に臨んだ気がしたが、眠気と時間の屈曲(長くなったとも短くなったとも言い難い)で気づいたら夕方になっていた。 術中の痛みなどは完全になくなるわけではなく、認識が難しくなった分の時間に広く薄く存在するように感じられた。 できれば二度とは使わずに済むように祈るばかりである。

一昔前なら二週間絶食したら重症は免れられなかっただろう。医学の進歩に感謝。 退院したら食べたいものリストを作ったりしたのは内緒。

何を言っているかわからないと思うが、飲むことができるようになった初日、缶ジュースを買った。 あまりにも鮮烈な味だったので、1/3くらいに薄めて飲んだがまだ濃いような気がした。 今はふつうの味に感じることだろう。

少々大袈裟かもしれないが… 誰かに自分の生を握られるのは動物としての自分の本能的な恐怖を呼び起こしたと言えないこともない。 一日目は本当に何がなんだかわからなかった。 病院の方々が信頼できると感じられるひと達で本当によかった。

最後に

私は元の生活に復帰したし、以前の自分と心身とも何ら変わらないし、何の影響もない、と普段は思っているがふとした拍子に ああ、もしかしたら私はこの前後で変わってしまったのかもな…と思うことが、たまにある。 例えば、入院していなかったら研究室を変えようと思っただろうか。それは自分にはわからない。

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